大阪漢方談話会に出席、末端冷え症の漢方薬「当帰四逆加呉茱萸生姜湯」のお話を聞いてきました。

 すこし前になりますが、去る3月6日、小太郎漢方製薬のご案内で、末端冷え症の人によく使用される漢方薬、当帰四逆加呉茱萸生姜湯について、寺澤捷年(てらさわかつとし)先生のとてもわかりやすいご講演を聴講して参りました。

 

寺澤先生は、千葉古方の故藤平健先生のお弟子さんで、富山医科薬科大学教授、日本東洋医学会会長を経て、現在の千葉中央メディカルセンター和漢診療科に在籍しておられる高名な先生であります。

 

 凍瘡(いわゆるしもやけ)を甚だしく来す様な、手足が冷えて、腹が張って痛んだり、あるいは腹鳴して下痢したり、あるいは腰痛あるいは頭痛、眼痛、あるいは帶下、月経不順など、末端冷え症の患者さんによく使われるのが、この当帰四逆加呉茱萸生姜湯という漢方薬です。眼痛をおこすなど、眼科とも関連が深い方剤であります。

 

 大塚敬節先生によれば本法の腹痛は下腹部から始まり、上へ攻め上がるのが特徴的であるという。また、下腹部の鼠径部の圧痛が特徴的といわれます。

 講演では、鼠径部の圧痛や背部の痞根という経穴の圧痛の特徴的な所見と、その神経学的な裏付け、6,7月の頃のしもやけ(凍瘡)では、SLEの鑑別が必要との注意点等を話されました。

 

 途中で、最近のお仕事である、山田業精著『井見集』・附録の語釈、コメントなどをまとめられた書物が秋には発刊されることを紹介されました。

 寺澤先生の新刊、『和漢診療学 あたらしい漢方』(岩波新書)を会場で購入して帰りました。

 寺澤捷年先生、小太郎漢方製薬の方々に感謝いたします。

 

 

 その1W後の事ですが、外来に、当帰四逆加呉茱萸生姜湯を投薬されている加齢黄斑変性の患者さんが来院され、少々驚きました。私の師匠の山本先生から、ある処方を勉強していると、その方剤の患者さんが来るんだよな、と話しておられた事を思い出しました。